Archive for the ‘コラム’ Category

カポの話。その2

2017-10-21

台風接近の影響もあり、雨の為、今週も路上はお休みでした。
来週は、遠方よりの友人と逢う可能性が高く、出来れば、その現地で演奏したいところですが、路上そのものが中止という事もあります。
予定、はっきりしましたら、早めに告知いたします。

 

カポの話。その2

 

ギターというのは、思った以上に低い音域をカバーしています。

私のアレンジは、ベースラインが動くものが多いです。
昔、友人のベースシストとユニットを組んだ時。
「これじゃ、ベースいらないね。」
と言われたことがあります。

別な、ベーシストにはこうも言われました。
「そこ、オレの担当だから。」

アンサンブルでは、問題があるようですが、ギター1本の弾き語りでは、この低音の存在は大変重要です。
通常、音の厚みが薄くなりがちな間奏部分を、低音部と開放弦を上手く使うことで違和感無く聴かす事が出来たりします。

これまで。
『歌唱にキーを合わせるよりは、ギターに歌唱を合わせたほうが、全体としては良い。』
という心持でありましたが、そうも言ってられない事情もあり、やむをえずカポ使用を始めたわけです。

そんな中でも、私なりの決め事があります。
それは『使用は3フレットまで』です。
音を上げても1音半(カラオケで言うと+3)まで、ということです。

それでも、低くて唄い辛い場合は、アレンジのキーそのものを変更します。
キーCの場合は、D#まではカポで。
それ以上は、なるべく開放弦を活かせるように、キーE、G、Aで考えます。
F、Bは開放弦を活かせないので、それぞれGのカポ2、Aのカポ2とします。
その上で、運指的に、どうしても適正キーでのアレンジに無理がある場合は、曲そのものを潔くあきらめます。

理由は、カポ4以上の音は、すでに、ギターの音では無いと思っているからです。
同じ高さの音であっても、カポ無しの開放弦の豊かさ(音の減衰の長さ)と同一には聴こえません。
ナイロン弦の場合、ウクレレっぽくもあり、音の質が決定的に変化してしまいますよね。
なので、高い位置でカポを使用したギターの音は、厳密には、“ギターの音”ではなく、“ギターをカポで移調した音”(まんまのようですが)と呼称していいかと思います。

稀な例として、わざと、カポ6とか7にしたりする場合があります。
でもこれは、ソロにせよアンサンブルにせよ、狙った上で、その音質が必要とされているのであって、そのキーが欲しいわけでは無いと考察します。

弾き語りに限って言えば。
高い位置でのカポ使用は、コードでの移調を面倒に思う、演奏者の未熟さの表れのようにも見えます。
あるいは、ギターという楽器に対する、敬愛の念の欠如とも思えます。
その音楽は、ただやみくもに、“ギターをカポで移調した、本来のギターではない音”に歌唱を乗せているだけです。
もはや、『ギター弾き語り』ではなく『カポ弾き語り』とは、言いすぎでしょうか。

以前。
時間の無い中で、カポ5で伴奏をした事があります。
いつも以上に、“負けた“気がしたのは言うまでもありません。

途中、わざわざ、“ギターをカポで移調した音”と呼称した訳は、次回『カポの話。その3』で書きます。

(つづく)

カポの話。その1

2017-10-15

土曜日定期の路上演奏ですが、今日はお休みしました。

現地、20:00は曇りだったので、やってやれなくは無かったかと思います。
先週からすでに街は選挙モードで、落ち着き無くざわついた感じも覚えていたので、腰が重かったのが真相です。

ツイッターでフォローしている、路上の歌うたいの方なんかが、「21:00~〇〇でやります!」と呟いてるのを見ると、なんとなく引け目を感じる夜となりました。
まぁ、彼なんかの場合は、機材的に身軽にあちこち動けるんだろうとは思ったんです。
でも、私も安物だけどガットギターがあるにはあるんで、やはり、天候不順だ、選挙だは言い訳ですね。

さて、それで。
以前から「何かコラム的なものを」と、ニコのリスナーさんからの要望もあったので、路上後記の投稿がないときは、なるべく別な記事を上げてみようという心持ちなのであります。
ちゃんと続けられるかは自信がありませんが。

 

カポの話。

 

去年の春ごろから、数十年ぶりにカポを使いはじめました。
それまでは、「移調にカポは必要ない」「着脱が面倒」「見た目が格好悪い」「フレット全部使ってこそギター」と、あれこれ理由をつけて購入しておりませんでした。
ホントは買うお金がもったいなかったから、というのが一番だったんですけれども。

カポ購入のきっかけは、ネット回線を使ったセッションでした。

私一人で弾き語る場合。
ギターアレンジをガチガチに固めるので、実際のところ移調はかなり面倒な作業となります。
そのアレンジも、開放弦をなるべく多用したものなので、多少の高い低いは目をつぶって、歌唱を伴奏に合わせねばなりませんでした。
以前は、しっかり声を出せる環境に無かった事もあり、どうしてもボソボソ歌唱の低い声域に合わせるアレンジが多くなっていたのです。

ところが伴奏の場合。
歌う人の、声の魅力が出やすいキーを提供する必要がありました。
同時に、私のアレンジが移調によって簡略化される事はあってはならない事でした。
でも。
先に書いたように、1曲1曲をそれぞれの方に合わせて移調し、新しいアレンジでちゃんと伴奏できるようになるまでには、また膨大な時間がかかります。
なので、やむを得ず、カポ購入となった次第です。

そして今年。
私は、だんぼっち(=簡易防音室)配信や路上演奏で、声を張れる環境にあります。
私自身も、これまでのアレンジでは、歌唱に不都合が出てきたのです。
結果、路上用に、少し大きめ(=失くさない為)のカポを買い足しました。

昨年、楽器店で、カポを手に取った時の事を覚えています。
正直、“負けた“気がしました。
今も、カポを使うたびに負けた気がします。
移調に「カポが必要」となりましたが、それ以外のカポを使わない理由は、何も変わらないわけですから。

演奏中、カポによって分断された、向こう側のフレットが目に入ります。
そのたび、振動する事のない、失われた低い音をもったいなく思うのです。

(つづく)